2013年3月

3.11

2013年3月14日

 先日、3月11日に実施したイベント『墨跡を語る会』の日には、2年前の大震災と同日だったことから開会前に黙とうを行う一幕があり、ある意味イベント自体より小生の意識に深く残りました。もう、あれから2年も過ぎたとは…。月日が過ぎるのは早いのか、遅いのか。感じ方は人それぞれでしょうが、自分自身はどうだったのか?と、深く考える一日になりました。
 震災という観点から文学をみると、有名なものでは鴨長明の『方丈記』が頭に浮かびますね。世の中が混沌として、一筋の光すら感じることができないとき、人が覚えるのは無常感でしょうか?絶望でしょうか?鴨長明のように、固執しない人生に喜びを見いだせると現代人の幸せの定義が変わってくるのかもしれませんね。周りの人からみると不幸にみえる人でも、実際は幸せと考えてる人もいるでしょう。もちろん、反対に幸せそうに見えても、実は不幸だと考えている人もいることでしょう。幸、不幸は流動的なもので、決して固定の概念ではないということを、方丈記という日本が誇る古典文学が教えてくれているような気がしますね。まさに、「よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しく留まりたるためしなし」といったところでしょうか。多くの人が抱える震災(もちろん震災以外のものもあると思いますが)という傷痕は、いつか無くなることはあるんでしょうか?
 3月11日、小生が担当した西田幾多郎の抱えていた心の葛藤ともあいまって、深淵をのぞき込み思考する一日となってしまいました。(S)
   西田曰く「哲学の動機は人生の悲哀でなければならない」

足跡を語る

2013年3月13日

  
 「墨跡を語る会」も無事終わったあとの朝、スイセン畑の柵がひとつ、あらぬ方向へ向いていました。蕾をつけたスイセンを守るために向きを変えたのかと思いましたが、良く見るとその先には、足跡が二つ。誰かが柵を引っ掛けたのは確かです。スイセンを踏むことなくすり抜けたことには褒めてつかわしますが、「一度ならず二度までも」がありそうで心配です。
 ウメ、アンズ、サンシュユ、トサミズキ、ツバキと、文庫の庭も賑やかになってきましたが、足下にはくれぐれもお気をつけください。(u)

墨跡を語る会

2013年3月11日

 

 

 

 今日は、一滴文庫くるま椅子劇場で昨年に引き続きイベント「墨跡を語る会」が行なわれました。
 今回は、水上先生がお持ちになっていた鈴木大拙と西田幾多郎の書いた墨跡2幅が採り上げられ、墨跡の意味や書いた人物の紹介を行いました。その後、皆の疑問、質問、考えが話しあわれる座談会や、墨跡の臨書体験が行われました。

 わたしは、鈴木大拙が書いた墨跡「無事是貴人」の意味を紹介しましたが、流れるように書かれた墨跡は禅語で、禅の世界で用いられるこの言葉には、深い意味があることを知りました。また、この鈴木大拙という人は優れた英語力で日本の禅文化を海外に広くしらしめ、文化勲章を授かった素晴らしい仏教学者であることを知りました。
鈴木大拙が残した言葉にこんな言葉があります。

 無智の人は、智力をいまだ目ざまさぬから、
素朴のままにある。
賢いひとは智力のかぎりを尽くしているから、
もはや、それに頼らない。
両者は睦まじい隣同士である。
「生ま知り」の人にかぎって、
頭を分別でいっぱいにする。

 無智のわたしには、慰められる言葉です。こんな人にまで関心を持ち墨跡を集めた水上先生の探究心に敬服することとなったイベントでした。(T)

ソフィーな世界

2013年3月10日

 昨日までとは、ガラリとかわった寒い一日でした。朝から、風は強く木々や窓ガラスを揺すり、雨は長い間乾いた地面を叩いていました。こんな荒れた日にはお客さんも少ないだろうと思って開館の準備をしていたら、なんのなんの、開館から閉館まで一日中お客様の絶えない一日となりました。
 そんな慌ただしい一日でしたが、小生の頭の中は明日のイベント『若州一滴文庫所蔵の墨跡を語る会』のことで溢れかえっていました。ここ数カ月間、自分の担当する西田幾多郎の思想を理解せんがため『善の研究』との壮絶な格闘の日々を過ごしてきましたが、最後まで真の理解を得ることはできませんでした。ですが、これまで自分のなかにはなかった多くの新しい認識を得ることができたと確信しています。できれば、明日でこの認識を終わらせることなく、今後も真理に向かって進めるように勉強していきたいですね。
 せっかくなので、ここで西田幾多郎の大切な一文(自分にとってですが)を紹介しておきます。

「ごまかしてはいけない、棄ててはいけない。そこを突破することによって、意外な思想の飛躍を遂げることができるのだから」

 どうですか?少しは西田哲学に興味を持っていただけましたか? 当日は、西田幾多郎の他に、世界にZENの思想を広めた鈴木大拙についても紹介がありますので、少しでも興味の湧いた方は是非13:00からのイベント『墨跡を語る会』にご参加ください。(S)

探し物は、

2013年3月9日

   
 探していたのはフキノトウです。探してというよりは、これを目当てに出向いたわけですが。
 写真のフキノトウは、文庫の庭に、ただひとつ出てきたものです。手入れのおかげか今年初めてこの場所にでてきました。どんどん増えていってほしいものです。
 フキノトウは天ぷらにしておいしくいただきましたが、「精進百撰」(水上勉著)の焼きもの十珍で紹介されている蕗のとうの味噌焼きは、その作り方を読んでいるだけで生唾ものです。来年はたくさん出てくるであろう文庫の庭のフキノトウでチャレンジ。(u)