胡蝶の夢

2014年7月13日

   

 先日より劇場ホワイエでスタートした杉谷馨木版画展、好調です。多くの方々にご来館いただき、様々なご意見や感嘆の言をいただいております。
 その杉谷さんの作品のなかで、私のお気に入りが数点あり、本日は終了間際にその内の一点に見入っておりました。その作品というのは、「蝶と彼岸花」というタイトルの作品です。この作品、なかなかに細やかな細工と、色合いの素晴らしさに目をとられるような逸品となっています。しかし、私はなぜか、そこにいる(存在している)蝶に自分を重ねてしまっているような気分になってしまいます。そうです、横にある彼岸花に目を向けると、まるで蝶から彼岸花を見ているような…額のガラスに映った自分の姿が目に入ると、まるで蝶から自分を見ているような…なんとも不思議な気分になってしまいます。
 そんな気分に陥りながら、不意に我にかえったときに思い出したのが漢詩「胡蝶の夢」です。あまり有名な漢詩ではなかったように思いますので、知らない方も多いのではないかと思います。あえて細かな披露はしませんが(というか、もはや誰の作品でどのような内容だったか、あまりに曖昧すぎて披露できません。覚えているのは概略のみです)、(S)の身上と重なり合う漢詩の状況を嘲笑う蝶が悪戯してきたのかと、穿った考えが頭を巡ります。
 さぁて、そんな不思議な気分にしてくれる(私だけでしょうか?)杉谷さんの木版画展。まだまだ展示期間は続きますのでご興味のある方は、ぜひ一度、一滴文庫劇場ホワイエに足をお運びください。雁木やローラーなどの木版画解説セットも展示しておりますので、楽しめる事間違いなしです!(S)