一言

2014年11月17日

 つい先日のことですが、事前の予約なしでお越しの団体のお客様が来館されました。門の前で幹事の方が「今から、こちらの施設にお世話になりますが、予定が押しておりますので20くらいでお願いします。たぶんそれぐらい時間があれば見終わると思いますので」と一言。それを聞いていた小生が門をくぐってきた皆さまに「たぶん20分では…」と返しの一言。さて、どうなることやら…。来館されました皆さま、見るからに文学好きそうな方々ばかり。案の定、見学時間は1時間越え。幹事の方は、長屋門と六角堂を行ったり来たり。とりまとめをされる方からしたら、迷惑な施設ですが、来館された方々(もちろん、幹事さん以外)がみな「こんな素晴らしい施設に20分なんてありえない! ここだけで一日でもいいくらいなのに」。〝幹事の心、参加者知らず”といったところでしょうか。
 ちなみに、なぜ文学好きそうな方々という目付けができたかといいますと、何名かの方々が外から文庫を眺めて「季節がらすごく四季采が豊かね。ほら、赤と黄色が…。昔読んだ海外の小説のタイトルみたいよ」。それに応える周りの方々は「赤と黄色…赤と黄色…『赤と黒』じゃなかったっけ?」。なんとも文学的な会話です。私の頭のなかに浮かんだスタンダールという名前が口をついて出てくるのに、そう時間はかかりませんでした。それに気付いた方が楽しげに「フフフッ、正解」と、これまた一言。
 何とも楽しい一言だけのやり取りとなりました。(S)