竹の精のように美しい妻と、彼女の上に亡き母の面影を見出し、母親としての愛情を求める竹細工師の夫との、あまりにもはかない愛の姿を越前の竹林を背景に描く。
越前竹人形を読んだ谷崎潤一郎は毎日新聞に「『越前竹人形』を読む」と題した感想を寄稿し、作品を次のように激賞した。
「これほど興味深く読んだものはなく、古典をよんだような後味が残る。玉枝を竹の精にたとえてあるせいか、何の関係もない竹取物語の世界までが連想として浮かんでくる。」谷崎潤一郎に絶賛された作品。
竹人形文楽「越前竹人形」の原作。