2016年7月

無言

2016年7月25日

 茶釜と柱時計が軒先に並べられていました。両方とも六角堂にといただいたものなんでしょうが、囲炉裏で火を焚きお茶を入れることも、正確に時刻を刻むこともなくなって、今では電気ポットと電気時計にその仕事を譲り、ひっそりと人目を避けるように置かれています。今日は年に数回の日向ぼっこの日で、こうして日の目を見ているんです。ほんとは捨てられてもおかしくはないのですが、文庫の歴史の一部を捨てるに捨てられずにいるんです。六角堂にはもうひとつ、重いがためにずっと動かされることなく据え置かれているものがあります。手動のかき氷機です。手入れをすればまだまだ使えるのですが、夏だけのために誰も相手にしてくれません。ま、六角堂に「かき氷」ののぼりがはためいても、今はやりのふわふわかき氷器が主役で、横に飾られるだけでしょうけど。
 でも、使わなくなったからといっても不要物ではありません。文庫とともに大切な宝ですから。(u)

親から子へ

2016年7月24日

 夏真っ盛りというような暑い一日でしたね。ですが、一滴文庫内は風が通り緑も多いことから、町中に比べると比較的涼しさを感じます。そんな文庫を楽しみに、本日も様々な方面からのお客様をお迎えすることができました。中には、(年配のご夫婦と乳児をつれた若いご夫婦のお客様)帰りがけに「〇〇と申しますが、〇〇先生は今日はお越しじゃないですか?」とのご質問をいただき、「本日は残念ですが……」と答えさせていただきました。すると「劇場のホワイエに子供の絵を展示していただいているのを見せていただきました。とても嬉しかったです。先生にありがとうございますとお伝えください」との一言が! あれっ、と思い、ホワイエを確認してみると、そのお名前の絵が数点飾ってあるじゃありませんか! しかも、その時一緒に来ていた若いご夫婦(お子さんを抱っこしていました)のどちらかが、その絵の作者だとしたら……。今日はお父さんお母さんの腕の中にいる子供さんがいつか自分たちの意思で文庫を訪れ、ホワイエでお父さんお母さんの絵を見つけることになるかもですね。その時の一言はたぶん「劇場のホワイエにお父さん(お母さん)の絵を展示していただいているのを見せていただきました。とても嬉しかったです」という感じでしょうか。果たして、小生がそんな瞬間に立ち会うことはできるでしょうか。(S)

水無月祭

2016年7月23日

    風も無く暑い一日でした。
    今日はおおい町本郷の日枝神社で「水無月祭」が行われています。商店街に貼ってあったポスターで知りました。写しに行くことは叶いませんでした。地元の人達から「かわそさん」の愛称で親しまれる同神社の例祭です。厄を海にあらい流すため、神輿を担いだ男衆が海に入るという活気あるお祭りです。
暑い夏をのりきるには活気が必要ですね。若狭湾の人達に幸ありますように。(T)

サルスベリ

2016年7月22日

 一滴文庫に訪れる季節はワンテンポ遅れるようで、ようやく百日紅の花が咲き始めました。私の庭でも町角でも赤やピンクや紫の花が咲き誇っていますが、文庫にある3本の木うち、咲いているのはこの一輪です。夕子の生まれ故郷では、百日紅の並木が帰りを待っているように、今年も真っ赤な花を咲かせているんでしょう。
 日差しは厳しいですが、吹く風は心地がいいです。室温30度でも冷房なしで過ごせました。(u)

経験

2016年7月21日

 本日、朝から個人でお越しのお客様、団体のお客様、打ち合わせの方々、次から次へとひっきりなしの対応で大活躍となった一滴文庫(擬人法的な)でした。そんな中でも、平均年齢が80歳ほどになるかという団体の皆様、一滴文庫に興味津々で次から次へと質問攻撃をいただきました。うれしいものです。なかでも一番小生の心に残った会話は、90歳に手が届くと言われていたお客様とのものです。「私は、生まれた家が造園にかかわる家柄だったので、小さいころからお庭を見て回るのが好きでした。色々なお庭を親に連れられて拝見させてもらいました。そんな中でも、ここは一風変わってるように感じます。造られたものという感じがあまりしないのに、整っている。一見すると、こんなところにこんな草木がと思うのですが、全体を見てからそこに目を戻すと調和を感じる。すごいものです」という趣旨のご意見をいただきました。周りの人たちからの質問に答えながらの会話でしたので、たぶんこんな感じだったかと思いますが、とてもうれしいお言葉でした。つい、小生も他の方々との問答もそこそこに「日本人が思い描く自然の風景は、里に住む多くの人たちの手によって作られる(保たれる)里山の風景ではないでしょうか。ここ一滴文庫のお庭は、多くの人たちの手が入り、30年かけて今につながる風景になっていますから、小さな里山みたいなものかもしれませんね」と一言。それに対するお言葉をもらうことはできませんでしたが、その場でニコリと笑みをいただき、本館に進んでいかれました。
 ここ一滴文庫にいると、本当に様々な経験をさせていただきます。言葉と言葉を交わし、言葉に表情で返され、言葉を文字に残し、そこに挿絵が入ることなんかも……。他ではできないような経験がいっぱいです。それを受ける感性が小生にもまだ少しだけ残っていたことにも驚きですが。(S)