文学

2012年7月19日

 先日、とあるCaféのとある時間に、ふっとしたことでヘルマンヘッセの話題が持ち上がりました。これまで小生は、ヘッセの作品は読んだことがなく、どのような作品を編んでいるのか知りませんでした。それが、本屋に足を運び、目的もなくプラプラしていると、目に飛び込んできたのがヘルマンヘッセの「車輪の下」でした。作品の名前は知っていましたが、これまで機会に恵まれず読むことはありませんでしたが、これも何かの縁だとばかりに書籍を購入し、暇にあかせて読み進めました。内容に記された時代背景など、多くの点で現代とは異質の生活環境を示す作品では在りましたが、周囲の大人から持たされる期待という重しに必死で耐える主人公のハンス少年の心情は、現代の日本においても共感されるべきものがあると感じました。周囲の期待や、その期待に応えようと奮起する心がしだいに揺らぎ、気が付いたときには自分が自分ではなくなる(まるで自分が価値の無い人間に思える)。希望が絶望に変わってくるポイント付近の表現では、作者であるヘッセの心の負債(状況)が表現されているようでした。
 100年以上も前の作品ですが、今も昔も変わることのない人間の内面を鋭く表現した作品です。もし気になった方は、一滴文庫図書室にも収蔵されていますので、ぜひご覧になってください。ヘッセ(主人公:ハンス)が開けたパンドラの箱には、希望が入っていたんでしょうか?(S)

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