一滴の雰囲気
2018年4月20日
あれは先日のこと、とあるお客様を本館展示室にご案内させていただきますと、一言「いや、これはまいった」と手を叩かれました。どうかしましたか? と尋ねると、お客様の地元で昔、同じ様な文化施設の立ち上げに携わったことがあったそうなんですが、一滴の雰囲気を数歩感じただけで「これだった!」と思ったとのことでした。もっと地元に密着して、ただの美術作品の展示場としてだけではなくと散々模索していたけど、結局ハード面(建築面)は他の施設と変わらず、ソフト面(内容)を充実させた(地元の作家さんや音楽家さんを招いてのイベントなど)だけで終わってしまったほろ苦い思い出がよぎったとのことでした。お客様の「これだった」の「これ」が、いったい何を指していたのかはお聞きできませんでしたが、一滴文庫の雰囲気にかなり感じ入っていたご様子でした。
まぁ、ここは水上勉の想いだけでできているのではなく、渡辺淳をはじめとする地元の皆さまの支えで成り立っている施設ですからね。一朝一夕でできるものでもありませんが、改めて一滴のすごさを感じさせていただいた瞬間でした。(S)