雨、霰、霙、雪
2016年1月21日
朝方は霰が降り、午後からは雨や霙が降ってべちゃべちゃの水を多く含んだ雪が庭に積もりました。
クリスマスや正月には雪が無かったのに、一月も半ばになってから雪が積もるなんて、私には初めての経験です。本館は、屋根が二段になっているため、水を含んだ重い雪が融けてドン・ドンと落ちる音が聞こえてきました。
朝方、こんな雪降りの中を一組のご夫婦が来館されました。そのご夫婦に帰り際、展示はいかがでしたかと感想を聞くと、『私には興味深く面白かったです。わたしは嫁の奨めで来館しました』と旦那さんが話してくれました。話はつながり、旦那さんの話を聞くところによると旦那さんはどうやら科学者のようでした。『水上勉は作品を、私は論文を書き続けねばならない仕事をしていますが、書いて発表し続けるということはなかなか大変なことで、私は今日初めて水上勉という作家を知りましたが、あれだけの数の本を書き続けるモチベーションとなったものはどういったものだったのか、私は知りたくなりましたよ』と話してくれました。職種は違えど発表しつづける苦悩は皆同じようで、今日は現職の科学者の口から聞くことができ、感激しました。(T)


コメント
霰
同小説を読んだのはこれで三回目と成りました。
一回目は、五十代に、水上先生の代表的な作品群の最後の方に読み残しは無いかと本屋さんの棚を探している時に、偶然見つけました。二回目は定年退職前後に、自然科学の仕事に一段落つけて、気持の切り替えがしたく、しっとりとした気持で、今回は古希を迎える直前に人生の一つの区切りの意味で読みました。
水上先生の文学は日本人の心の本質を市井に埋もれている人間の無常観をさり気なくしかし深くえぐっているにも係わらず、しんみりと読む者の心に日本人が無意識の内に秘めていた本質を思い出させて呉れます。
二十一世紀の人としての素朴な日常で得る通過点としての温もりを先生は読後感として教えて呉れているように思います。
霰の中で描かれている人物の不条理は、今、二十一世紀のこの世の中に、より複雑により絡み合って抜け出すことの困難を来しています。
温もりの尺度は人それぞれと逃げた結論を出しますが、少なくとも自死を選ばざるを得ない状況だけは、食い止められる、心の温もりを分かち合える社会に近づいて欲しいと願ってやみません。
読後感にはほど遠いコメントに成ったことをお許し下さい☕
2021年6月8日
コメントありがとうございます。
水上先生は、晩年「僕の作品は、僕が死んだらすぐに世の中から消えていくよ。たぶん後世に残ってくれるのは〇〇と〇〇の二つだろう」と、言われていたそうですが、その他も作品も読み継がれていくものは、人間の本質が変わらない限り多数あると思います(人間の本質が変わることはないと思いますので)。
そういう意味でも、とても参考になる感想でした。
重ねてお礼申しあげます。
2021年6月9日