季節は少し後になりましたが、この日、13138羽飛来したと表示がありました。
「湖笛」の湖北悲愁、水坂峠の場面である。峠は若狭から近江へ行く一番の難所である。馬上の武士、武田孫八郎元明は、秀吉によって海津の宝憧院で自害に追い込まれようとは知る由もなかった。水坂峠近くの静かな山里、角川集落の棚田は稔りの季節である。
「水は自然の堰をつくり、淵をつくって流れをゆるめたり、あるいは、つぶて石のむらがる底を透明に見せながら、走るように流れていた」
天正十一年四月二十四日、北の庄落城。主人公、京極高次は若狭へ落ちのびる。神宮寺から万徳寺へ。秀吉に抗うべきか否か?
迷いの中、高次は猷山和尚のすすめにより、仙岳禅師に会うために根来川をさかのぼって行く。
「眼をつぶれ」
と、仙岳はいった。高次は眼をつぶった。すると、眼前は真っ暗となり、樹々をわたる風の音と、川水の落ちる音がはげしく耳にきこえるばかりである。
お市の方が詠んだこの宴の歌に勝家は珍しく歌を返している。
夏の夜の夢路はかなき跡の名を
雲井にあげよ山ほととぎす