3月2019
来たい期待
昨日、お一人のお客様が来館されて、色々なお話を聞かせていただきました。「私は、水上勉さんの大ファンで、ものすごい量の水上作品を読みました」とのこと‥‥‥。お話を聞いていると、まさにその知識量の多さには、小生も驚かされるばかり…。これまでお話をさせていただいたファンの中でも、一二を争うほどの豊かな知識。そして、本当に謙虚な姿勢で…。見習わないといけないお姿でした。
しかし、無情にも時間は未来に過ぎ去るもの(いや、最近の物理の研究では、時間は単純に一方向にのみ流れているのではないとのことですw)。帰りのお約束時間が迫ってくるのに、まだ本館の一階と図書室のみしかご見学が終わっていません。時間が来ると「仕方がないので、今日はホテルに戻りますが、明日もう一度寄せていただいて、残りの施設を見学させていただきます」と、残してお帰りになられました。
そして、本日。もう一度、ご来館いただき、無事に施設すべてのご見学が終了しました。これまで、何年も来たい来たいと思っていたことが現実になったとお喜びのご様子でした。たぶん、帰りのお車の中では、ご家族の方々と水上文学の想い出話に花が咲いているのではないかと、小生も期待(来たい)に胸膨らみます。(S)
本を探そう
年度末
花ざかり
百年という節目に
コブシ
想い出の一冊
本日、様々なお客様に来館いただき、面白い話と感想もいっぱい聞くことができました。中でも、常連のお客様がお孫さんを連れて見学に。本館の展示をお孫さんと見て、ぱっと目に入った本が『霧と影』。その本を手に取り、お孫さんに「じいちゃんのお父さんが本の好きな人やって、お前も読んでみたらどうかと言われて渡されたのが、この『霧と影』やったわい。お前にはまだ早いかもしれんけど、もう少し大きくなったら読んでみいや~」との一言。どうやら、思い出の一冊を手にして昔の記憶が蘇ってきたご様子でした。そして、展示を一回りして「やっぱり、人間の描写というのは、松本清張さん(展示の一角でお名前を出していたもので)より水上勉さんの方が上やった。水上さんの描く人間の表現は、同時代のどの作家より群を抜いていたよ」と、なんともうれしいご感想まで。
水上勉先生も、生誕百年という年を迎えて、まだまだ世間に広く問われるべき作家ではないかと、改めて考えさせられる一日でした。(S)