NPO法人一滴の里

(法第10条第1項5号関係様式)

設立趣旨書

1 趣旨

我々の郷土の大飯町には、当町出身の作家、水上勉氏の設立による文化施設「若州一滴文庫」があります。

この若州一滴文庫は、水上勉氏の蔵書のうち約2万冊を収納し、広く閲覧に供され、また、文学作品に使用された30名以上の現代画家の装丁、挿絵の原画約200点、ならびに佐分利在住の竹細工師、岸本一定氏が製作された竹人形100体余り、それに取り付ける500点を越える面も収蔵され、当町唯一ともいえる文化、芸術の情報発信地であります。

昭和59年(1984)6月に水上勉氏によって発表された若州一滴文庫の設立趣意書には、次のような事が述べられています。

「若州一滴文庫」は、当町大島出身の儀山善来の思想を受けて名付けられた。
大飯町は日本禅宗史に著名な大拙承演、儀山善来を生み、高浜出身の越渓守謙、洪嶽宗演と共に幕末から明治にかけて排仏思想の吹き荒れた時代に、禅の炬火を守り続けた高僧たちの生誕地といえる。また、犬見には、西田幾多郎や鈴木大拙の師で、儀山善来の孫弟子でもあった雪門玄松が晩年を過ごして入没している。
儀山の「一滴の水」の思想が、明治に活躍した哲学者の精神にも影響したわけで、これらの先達者の行跡を掘り起こし、後世に伝えるのが今日私たち大飯町に生きて文化を愛する者の使命でなくてはならない。本文庫は併せてその研究調査のために設立されるものである。

また、文庫を紹介するパンフレットには、「たった一人の少年に」と題する水上勉氏の想いのこもった文章が載せられています。

ぼくはこの村に生まれたけれど、
十才で京都に出たので、
村の小学校も卒業していない。
家には電燈もなかったので、本もよめなかった。
ところが諸所を転々して
好きな文学の道に入って、本をよむことが出来、
人生や夢を拾った。
どうやら作家になれたのも、本のおかげだった。
ところが、このたび、所蔵本が多くなって、
どこかに書庫をと考えたが、
生まれた村に小さな図書館を建てて、
ぼくと同じように本をよみたくても買えない少年に
開放することにきめた。
大半はぼくが買った本ばかりだ。
ひとり占めしてくさらせるのも勿体ない。
本は多くの人によまれた方がいい。
どうか、君も、この中の一冊から、何かを拾って、
君の人生を切りひらいてくれたまえ。
たった一人の君に開放する。

このような趣旨に基づいて、若州一滴文庫は、当町岡田の地を拠点として、文化、文学、芸術の啓発活動を続けてきたのです。しかしながら、惜しいことに、現在は、やむを得ない諸般の事情から休館状態となっています。若州一滴文庫をこのような状態のままにしておくことは、我々のみならず広く文化、芸術を愛する方々にとっても惜しまれるものでありましょう。

今、我々有志は、上記の若州一滴文庫の設立趣意や「たった一人の少年」への想いに賛同する有意な人々を募り、特定非営利活動法人「一滴の里」を設立し、地域住民と他の不特定多数の市民および団体に対し、行政及び他の文化施設との連携を深めながら、地域の文化・芸術の教育普及、調査研究、さらに情報化、交流促進に関する事業を行い、よりよい風土の形成に寄与すること並びにその活動拠点である若州一滴文庫の管理・運営等の支援を目的とするものであります。

2 申請に至るまでの経過

平成13年10月25日 午後7時30分より 発起人会を開き、設立の趣旨、定款、会費および財産、平成13年度および平成14年度の事業計画、収支予算、役員の案を審議し決定した。

平成13年11月22日 午後7時30分より 設立総会を開き、発起人より設立の趣旨、定款、会費および財産、平成13年度および平成14年度の事業計画、収支予算、役員の案を提案し、審議の上決定した。

平成15年4月16日
水上勉

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