境界はキョウトイの~

2013年5月26日

 最近、ちょっと気になることがあります。それは、来館してくるお客さんの足元です。と言っても、靴のことではありません。文庫の長屋門の敷居ことです。事務所が長屋門をくぐって直ぐ脇にあるものですから、お客さんがどのように門をくぐって入ってくるか、ものすごく目につきます。よく目にするのは、足の悪そうな年配の方でも、敷居をヒョイっと跨いで踏まないようにしている風景です。流石、年配の方はその所作が型にはまっているようで、何も考えなくても踏まないように体が記憶しています。一方、元気があふれる子どもたちはというと、元気にあいさつをして門をくぐるときにピョンと敷居の上に乗ってから文庫に入園してくる子もいるくらいです。ここまでくると、もはや年代の違いですね~と言って終わっていいものか考えさせられます。
 確か、元々は”家の敷居という重要な部分を出来るだけ長く保つため”とかという理由があったようですが、民俗学的には、境界問題と相まって面白い論があったことを思いだいました。それは、家の敷居という場所は、内でも外でもない曖昧な空間というものです。そうです、ここまでくれば、勘の鋭い方はガッテンしていただけたかと思います。これまで小生の徒然にも度々出てくる妖怪や幽霊の出やすい時間帯(タソガレドキ、カワタレドキ)や場所(橋、村の出入り口)と同じですね。世の中で一番怖い事は、何かと何かのちょうど間の時空に足を踏み入れる事なんです。敷居は、内と外を区切っている場所なので、内でもなく外でもない。そんな場所に足を踏み入れることの恐ろしさたるや、ましてや、その上に飛び乗るなんて………あ~クワバラ、クワバラ………といったところでしょうか。ちなみに、この「クワバラ」とは、何を指しているかわかりますか?これまた面白い話ですが、長くなりますし、次の機会のネタは取っておかないと大変なので、いつかまた。
 気温はグングン上昇中なので、ちょっと怖い小ネタを挟んでみました。(S)