世界の文学
2012年5月10日
先日、テレビを見ていると、小生にとって懐かしの文学作品であるカフカの『変身』を議題に取り上げた番組が流れてきました。そういえば、最近本屋さんに行くとカフカについての本が並んでいるのを見た記憶があります。たしか、本には絶望の天才だとか何とか………という副題(?)が付いていたような気がします。
確かに、カフカの作品から感じるものは、「絶望」だけだったような気がします(と言っても、小生はカフカの作品は『変身』だけしか読んでいませんし、読んだのもだいぶ前のことで記憶が曖昧になっていますが)。
ある日突然、自分が虫になっていく(肉体的にも精神的にも)。そんな自分を見る周囲の目。そして、(労働力としての)自分がいなくなることによって結束し、生活を立て直す家族。どんどんと無くなって行く自分の居場所。この作品からは「絶望」以外感じることができませんね。しかし、目線を変えて、家族や周囲の側からこの作品を考えると、ものすごく深い人間心理が描写されている作品だったことに気付かされます。変身するのは体か心か…もしくは、自分か周囲か…。直接画像がインプットされる漫画やテレビと違って、活字による文学作品は読み手(心情)による作品のとらえ方が千差万別だと思います。あなたはどちらの立場から『変身』を読みますか?
もちろん、このカフカ著『変身』も一滴文庫図書室に収蔵されています。もし気になった方は、一滴文庫図書室の席から窓外の世界を感じつつ『変身』を読んでみませんか?(S)